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三月はスタンロッドのスイッチをONにした。
激しい電流がロボットのコアを貫き、そのボディ全身に回る。
アンドロイドはぷすぷすと間抜けな音をたてている。ポンプは真っ黒焦げになり、異臭が付近に漂っている。
アンドロイドはがくがくと足を震わせながら地に倒れ伏した。
三月もほっ、と一息ついて、
「…やったか…」
がくっ、と地面に両膝をついた。
安堵した表情をうかべかけたが、地面に視線を向けていた視界が影に覆われたのに三月は気付いた。
「!」
衝撃はいきなり襲ってきた。
3メーター位ふっ飛んだ後、三月の思考がやっと働き始めた。
(ま、まさか…)
なんとか首だけを動かして、彼は見た。
アンドロイドの切り裂かれた左肩の傷が修復されかけているのを…
(自己修復?!馬鹿なっ!そんなシステムが開発されたなんて聞いたことないぞっ!)
しかし、アンドロイドの傷は少しづつではあるが、確実に修復されている。
人工知能が民間の研究者によって開発されたのだから、巨大な組織が自己修復システムを開発していてもおかしくはない。
ロボットがそれを手刀で破壊しようとしたその瞬間。
三月は両目を閉じ、まともに動く右手で顔を覆い隠した。
手刀がロボットに投げ付けられた物を切断すると同時に、その物体は激しい轟音と眩い閃光を辺りに撒き散らした。
旧式のダイナマイトと同じ場所に保管されていた、閃光弾である。
この閃光でロボットの視界センサーを一時的にではあるが、完全に奪った。
「うおぉぉぉぉぉ!」
腰から抜き払ったダイヤモンドナイフで、ロボットの潤滑油のポンプがある左肩を突き刺す。
「あぁぁぁぁぁ!」
気合いと共に、あらん限りの力を振り絞って、右手一本でポンプの部分を剥き出しにする。
ここでやっとロボットも反撃に出た。
神速と思えるスピードでその刹那、三月の背後に回っていた。
そして背後から三月の心臓を貫こうと手刀を繰り出した。
しかし三月は咄嗟にその上体をずらした。手刀が三月の左肩を僅かにかすっていく。
三月はダイヤモンドナイフを床に落とし、スタンロッドをベルトから引き抜いた。それを剥き出しになったロボットのポンプ部分にピタリと当てる。
「これで最後だっ!」
ふらふらとした足取りで立ち上がり、三月は叫ぶ。
右手に握られているものは、この地下室で見つけた旧式のダイナマイトだ。
そして口に咥えた点火してあるオイルライターで導火線に火をつけ、それを佳織のディスプレイ目掛けて放物線を描くように放り投げた。
三月には確信があった。
ロボットは一定の目的の元に動く。奴の目的は佳織の回収。ならば、佳織を破壊しようとする行為は、なによりも優先して阻止するはず。
三月の思惑通り、ロボットは凄まじいスピードで空中に放り投げられたダイナマイトの導火線を手刀で切断しようとした。
痛む体に鞭打って、三月はロボット目掛けて走り出す。
ロボットはダイナマイトの導火線を切ると、自分目掛けて駆け込んで来る三月に視線を移した。
三月はすかさず右手に握っていた閃光弾をロボットの頭部に投げ付ける。
「これでもくらえっ!」